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2024.3.12

過酸化ベンゾイルに関する報道について

過酸化ベンゾイルに関する報道について

先日報道がありました、ニキビ治療薬に含まれる過酸化ベンゾイルに関して、ご不安を感じられている方も多いと思います。本邦で処方される過酸化ベンゾイル含有のニキビ治療薬はベピオ®、デュアック®、エピデュオ®があります。どの薬もニキビ治療薬の主力の薬剤で日本全国で多くの患者さんが使用しています。

今回のことの概要としては、アメリカの独立系検査会社バリシュア社がFDA(アメリカでの厚生労働省のような機関)に対して請願書を提出しました。ニキビ治療薬に含まれる過酸化ベンゾイルが発がん性物質のベンゼンに化学変化を起こすという点が問題視され、詳細な調査が完了するまでの間、含有製品の回収などを要望しているようです。FDAがこの請願書を受けて製品回収などの指示を出すかは、現時点(2024年3月11日)では不明です。

当然ですが、医薬品では発がん性検査が実施されており、ベピオ®ゲルで、マウス・ラットで腫瘍の増加は認められない結果が得られています。同じくベピオ®ゲルでヒトの各臨床試験、使用成績調査などからも発がんの報告はありません。特にマウス・ラットでは外用剤としてではなく、経口投与する形でより強い暴露で検査を実施しているようですが、腫瘍の増加は認められなかったという結果が得られています。

今回の請願書提出の背景として、問題を報告したアメリカの検査会社は、過酸化ベンゾイルからベンゼンを生成させない製法の特許を持っており、企業間の経済的な事情も背景にあると勘繰る見方もできなくはないです。ただし、少なくとも科学的なデータと根拠を以てFDAへの請願書が提出されていますので、今回のことを受け、さらに詳細な調査が進むことになると思います。薬剤メーカーからも近々これに対する文書などでの対応が発表になると思います。ご不安な方は、ディフェリン®という薬剤への変更なども検討できますので受診・相談頂ければと思います。

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